シリアのアレッポ陥落 問題をかんたんにまとめる【それでも複雑】

シリア問題といわれても、アラブ諸国の問題はおそろしく入り組んでいて、わけがわからないという人がほとんどではないでしょうか。

そもそも、「シリアってどこ?」という人も多いと思います。

そんな中、シリアではアレッポが陥落というニュース。

「よくわからないけど、それで何がどうなるの?」ということなんですが、これ実は、代理戦争の構図になっていて、シリア最大の都市アレッポを陥落させたのはロシアが支援しているアサド政権側で、アメリカやEUが支援している反体制派が駆逐されたということが最大のキーワードになります。

事の成り行きをまとめる

シリアは、中東の一国で地中海に面しており、東にイラク、北にトルコ、南にヨルダン、西にはレバノン、イスラエルがあります。

https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%A2/@34.7942164,36.7971237,7z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x1518e6dc413cc6a7:0x877546f4882af620!8m2!3d34.802075!4d38.996815

  1. 2010年、アラビア語を話すアラブ諸国一帯で、「アラブの春」とよばれる大規模な反政府デモが起こりました。
    この反政府デモは2011年にシリアにも及ぶのですが、ここからシリアは悲惨な代理戦争の場となります。
  2. シリアはもともとアサド政権が支配していたのですが、ここで反体制派の組織が武力による革命を起こします。
    この反体制派にアメリカやEU、トルコ、サウジアラビアなどが武器を与えて応援しました。
  3. その後イスラム国が反体制派に与する形でこのシリアの紛争に介入したのですが、徐々に反体制派と力関係が入れ替わり、シリアの一部を実効支配するようになります。
  4. さらにその後ロシアがアサド政権と結びついて、急激に反体制派を駆逐。
    とうとう首都ダマスカスをしのぐシリア最大の都市アレッポを陥落させました。

というのが現在までの大雑把な流れです。

大国同士が直接争うことなく、小国につく形で戦争をさせて、勝ったほうが利益をとる構図を代理戦争といいます。

ではどうしてこんな複雑な戦争が起きるのかというと、当然「金になるから」です。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7922?page=2

「シリア内は、まれにみる悲惨で壮絶な戦いとなっています。多くの外国勢力が資金力にものを言わせ、シリアを内部から崩壊させようとしているのです。原因は2010年の大油田の発見とともに、イスラエルに近いとか地政学上重要な位置にあるからです。サウジアラビア発議のシリア非難国連決議などがありますが、それはテロ集団を利するものです。アメリカがいうような温和な反対勢力などなく、すべてテロリストで首を刎ねる人々です。海外に流されている、情報の7割は虚偽のものです。もし日本政府からの支援などあれば受けますが、チャリティのようなものはいりません」

さらに日本でもテロ組織としてよくニュースになるイスラム国(IS)ですが、これもただの悪意ある組織がふくれあがっている、というような話ではなく、アラブ諸国が抱える問題を解決させるための、それなりの思想を掲げています。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48257

なぜ、中東の内外からISに合流する者が後を絶たないのか。

そこには、ISが、豊富な資金を駆使した巧みなリクルートを行っていることの他に、混迷の色を深める「アラブの春」後の中東において、新たな秩序の青写真を見せることに成功している点が挙げられる。

その新たな秩序とは、彼らが理想とする「イスラーム国家」の建設であり、現行の国民国家とはまったく異なる統治の原理(イスラーム法による統治)と領域の設定(超領域的な国家建設)を特徴とする。

ISは、自由、人権、民主主義、さらには「世界遺産」といった現代世界における「普遍的価値」をグロテスクなまでに否定することで、その新たな秩序の「新規性」をアピールしている。

政治思想や社会思想がまったく違う国や組織が、シリアを舞台に苛烈な戦闘を繰り返していたのですが、アレッポ陥落によってアサド政権側とロシアの事実上勝ちとなり、反体制勢力は今後縮小していくともいわれています。

戦況を見極めてから参加したロシアからすれば、漁夫の利になったといえるでしょう。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8339

「アサド政権がアレッポを制すれば、首都ダマスカスや東部沿岸のラタキアなどシリアの都市部のほとんどを支配することを意味する」(ベイルート筋)。逆に反体制派は深刻な打撃を被ることになり、ロシアの空軍力やイランの支援がある限り、政権軍勢力を押し返すことは難しい。「散発的なゲリラ戦を続けるしかなく、事実上、反体制派の終焉だ」(同)。

アサド大統領の追放という反体制派の目標実現は遠のき、同派が移行政権など「シリアの将来」で担う役割は限りなく小さいものになってしまうだろう。つまりはアサド政権の存続と、それを支援するロシアとイランの存在感、影響力が増大することになる。

反体制派の敗北で、支援してきたサウジアラビアやオバマ米政権は大きな打撃を被り、敗者となりそうだ。

問題はさまざまな形で世界に影響を与えている

http://karapaia.com/archives/52201104.html

地中海を越えてヨーロッパに入ってくる人たちの3分の1は、シリアの大虐殺から逃れてきている。

この移民問題を争点のひとつにして、イギリスがEU離脱を表明したのは記憶に新しいところです。

積極的に移民を受け入れているドイツでも、問題は深刻化。

http://www.newsdigest.de/newsde/news/featured/3074-840.html

移民の背景を持つ国民の中途退学率は13.3%で、“ドイツ人”(7%)の2倍、移民の失業率は12.4%で、こちらも“ドイツ人”(6.5%)の2倍。ドイツ語ができない、十分な教育を受けていないなどの理由から就職できず、生活保護を受けて生活している移民が多いのだ。移民男性による犯罪率が高いことも統計で明らかになっているほか、「名誉の殺人」や「強制結婚」といった女性差別も、大きな問題となっている。

このような諸問題を背景に、国内では移民論争が繰り広げられている。最近世間を騒がせたザラツィン元連銀理事の「ドイツは滅びる(Deutschland schafft sich ab」や、ゼーホーファー・キリスト教社会同盟(CSU)党首の「ほかの文化圏からの移民はもう要らない」発言が、さらに論争を激化させた。両氏の度を超えた発言には非難が集中したが、「もっともな意見」だと支持する声も上がっている。ヴルフ大統領は移民との共生を訴え、「(移民の多く─約400万人─が信仰する)イスラム教もドイツの一部」と明言したが、これに対しても国民の半数が懸念を示すなど、移民との未来に不安を抱く国民が多いことも露呈している。

移民問題も深刻ですが、テロ問題も深刻です。

アレッポ陥落後、テロ行為は激化しています。

この数日だけでもテロ行為およびテロと思われるニュースが後をたちません。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/12/1210.php

犯人はトルコ西部のアイドゥン県生まれの22歳の警察官、メヴルット・メルト・アルトゥンタシュであった。アルトゥンタシュはトルコ第3の都市、イズミル県の警察学校を卒業後、アンカラで2年半、機動隊員として職務に従事してきた。アルトゥンタシュは「アレッポを忘れるな、シリアを忘れるな。シリアの同胞が安全でない限り、お前たちも安全を享受できない」とトルコ語で叫んだあとカルロフ大使を銃撃した。アルトゥンタシュはその後、他の警察官によって銃殺された。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161220-00000034-jij_afp-int

拘束されている運転手の男性は2月にアフガニスタンもしくはパキスタンから入国した亡命希望者とみられている。

このトラックの助手席では、運転手として登録されていたとされるポーランド人男性が死亡しているのが発見された。警察は、事件当時運転していたのはこの男性ではなかったと述べている。また、ブランデンブルク(Brandenburg)州内相のカール・ハインツ・シュレーター(Karl-Heinz Schroeter)氏は20日、この男性は「銃で撃たれ」て死亡したと話した。

今回の事件ではトラックがクリスマス市に突っ込み80メートルにわたり暴走、12人が死亡し、48人が負傷した。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/19/zurich_n_13735400.html

現場はチューリヒの中心部オーセルシル地区で、チューリヒ中央駅近くにあるイスラム教のモスクに銃を持った男が侵入した。男は祈りを捧げていた数人に発砲し、30歳、35歳、56歳の3人の男性が負傷した。警察によると3人は病院に搬送されたが、2人が重傷、1人が軽傷だという。ロイターによると、このモスクはソマリア系のイスラム教信者が多く、負傷した3人もいずれもソマリア系だったと目撃者は語った。

まとめ

これら情勢の変化が、ここ最近のオバマ大統領のロシア批判だったり、トランプ氏のロシアとの協調姿勢、日本の親露姿勢アピールにつながっているようです。

ロシアが今後一気に世界での地位を高め、発言力を増してくることも考えられます。

他の国が今後どのように対応していくのかも含めて、世界の情勢に注目しています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク