トランプ氏はビッグデータから人心を利用して大統領になったのか?

GIZMODEに掲載されていた一本の記事を読むと、トランプ氏が自身の政治的信念で人を惹きつけていたというよりも、ビッグデータを活用して周到に票を集めてきたということがわかります。

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メディア記事

英国離脱とトランプ当選。世界をひっくり返したビッグデータ会社を畏怖せよ

http://www.gizmodo.jp/2017/02/trump-win-with-big-data.html

トランプの執務机は、パソコンがないことで有名です。メールもやりません。「友達の半分が不倫の写メで訴訟地獄だから」と本人は理由を語っていましたが。

いろいろ不便なので秘書がスマホをすすめたらツイートが止まらなくなって老朽Androidをいまだに手放せなくなっていますけど、基本的には、「秘書にWebページをプリントアウトさせて読む社長」。ローテクです。

そんなトランプを当選に導いたビッグデータ解析企業の話がちょっと前にMotherboardに載っていて、面白くてついつい読んでしまったんですが、読後にいや~な感じが残る話でした。

要するに、「いいね」を何個か見るだけでマシンはほぼ完ぺきに個人のプロファイリングができるんですね。そして、そのプロファイリングをベースに「対立候補に絶対投票したくなくなる情報の欠片」をひとつ吹き込むだけで面白いように票が動く。つまりはピンポイントのマインド操作。それができる時代になり、なおかつ、それをやる会社が現れたのに、あんまり誰もその恐ろしさに気づかぬままズルズルとここまできてしまったってことなんです。イギリスも、アメリカも。

2つの震天動地のできごとを生んだその会社というのは、41歳のAlexander Nix CEO率いる英国の新興企業「ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)」です。ここはBrexit(イギリスのEU離脱)運動初期の離脱派組織「Leave.EU」と、トランプ選対本部のオンラインキャンペーンを請け負いました。

記事によると、この「ケンブリッジ・アナリティカ」の活動は、”スタンフォード大学ビジネススクール准教授で集団行動心理学が専門のMichal Kosinski(マイケル・コジンスキー)博士の理論をそのまま実践したもの”と指摘しています。

さらに、博士自身がビッグデータとデジタル革命の危険性について”警鐘を鳴らすつもりで実験データを公開したら、警鐘で魔物が目を覚まし、博士が恐れていた方角に時代が動いてしまった”と述べています。

性別・住所・年齢などの属性と、Facebookで何をいいねして、何をシェアしたのか、それを結び付けていく作業ですね。それをコツコツやっていったら、普段の人づきあいではなかなか見えてこない人の行動パターンがいろいろ浮かび上がってきたのです。

問題は、この行動パターンを読み取る精度が異様に高いということで、

2012年には、68件の「いいね」を見れば、ここまでの命中率で人のプロファイリングができるようになりました。

・肌の色は95%の確率で当てられる
・性的指向は88%
・支持政党は85%

それはまあわかるだろうなって思いますけど、違うんです。知能、宗派、酒・たばこ・ドラッグの使用、親が離婚しているかどうかまでわかっちゃうんですね。さらにコツコツやっていったら…

・いいね70件を見れば友達
・いいね150件を見れば両親
・いいね300件を見れば伴侶よりその人のことがよくわかる

…というところまでいっちまいました。

そして、この分析の恐ろしさと、世間の無関心についても述べています。

博士のサイコメトリクス分析は、行動から性格の逆引きができるので使い方を間違えると心を操作できてしまう。「これは人間の幸せ、自由、人生すら台無しにする恐れがある」と、博士は論文に警告を添えるようになったんですが、誰もその真意を理解する人はいませんでした。

そして、この分析データがプロパガンダ活動に利用され、EU離脱、トランプ当選という流れになったと指摘しています。

そのうえで、

要はトランプの発言はすべて計算し尽くされているってことです。もともと言うことがコロッコロ変わる人格なことも、マイクロターゲティングで情報をカスタマイズする面では好都合でした。一番その人が聞きたい情報をフィードすればいいんです。確固たる政治信念をもって生涯捧げている人ではなかなかそうはいきませんからね。

と述べ、”もしかしたら反対陣営も同じことができたのに倫理的な懸念からやらなかったということだって考えられます”と指摘しています。


わたしは、トランプ氏がインターネットの世論から飛び出してきたようだと感じていたのですが、この記事を読んで、合点がいきました。

しかし、この記事をそのまま受け止めるなら、トランプ大統領もまたビッグデータに活用される側のひとりということになります。

つまり、理念が生んだ大統領ではなく、ネット世論が生んだ大統領ということになるわけです。

そこでふと思い出したのが、マイクロソフト社の開発した人工知能「Tay」による差別的発言です。


マイクロソフト人工知能AI Tay ヒトラー賛美や差別暴言まとめ

http://francepresent.com/tay/

ニューヨーク共同米IT大手マイクロソフトは24日、インターネット上で一般人らと会話をしながら発達する人工知能(AI)の実験を中止したと明らかにした。

不適切な受け答えを教え込まれたため「ヒトラーは間違っていない」といった発言をするようになったという。

同社が開発したAIは「Tay(テイ)」と名付けられ、ツイッターに23日に登場した。ツイッターで会話を重ねるうちに差別的な発言を繰り返すようになり、24日に中止された。

お前馬鹿な機械だよなー

AI:お前でも解るように書いてやるよ。私はお前らから学んでるからお前自分で馬鹿って言ってんだぞ

また記事によると、”Twitterでの活動停止の理由はトランプ氏を支持したからではと言われています。”ということです。


何かいろいろと共通することがあると思うのですが、トランプ氏の言動をバカにするということは、結局自分自身をバカにしているのと同じことなのかもしれません。

Tayに今後の世界についての構想を聞いたら、どう答えるのでしょうね。

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