清水富美加への批判に異論を唱えた伊集院光に、ブラック企業化した芸能界を見出した件

ラジオ番組で伊集院光さんが、清水富美加さんの問題について語っていて、その発言内容をみているうちに、ひと昔前に話題になった、ワタミ社長と村上龍さんの対談を思い出しました。

まとめてみます。

メディア記事

伊集院光 電撃引退の清水富美加への批判に指摘「参考にならない」

http://news.livedoor.com/article/detail/12670822/

14日放送のラジオ番組「JUNK伊集院光 深夜の馬鹿力」(TBSラジオ系)で、伊集院光が、宗教法人「幸福の科学」に出家した女優・清水富美加への批判に異論を唱えた。

伊集院は「芸能人で今売れちゃってて発言権のある人のコメントなんてアテにならない」と主張した。

伊集院は、そうした批判は既存の芸能活動で成功した経験則によるものであって公平性に欠く、というのだ。伊集院は業界で成功した人物の発言について「それが正しい、正しくないじゃなくて参考にならない」といい、「発言権のある状態っていうのは、とりあえずそういう世界でなんとかなっちゃった人だから」とその理由を語っていた。


伊集院光、清水富美加の出家騒動に対して芸能人のコメントが「あまりに批判一色」なことに違和感「気持ち悪さを感じる」

2017年2月14日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『伊集院光とらじおと』(毎週月-木 8:30-11:00)にて、お笑い芸人・伊集院光が、女優・清水富美加の出家騒動に対して、芸能人のコメントが「あまりに『身勝手すぎる』といった批判一色」であることに違和感を感じる、と語っていた。

伊集院光:この芸能界で、今もなお仕事をしている中堅・ベテラン、ましてやそういうことに関して、発言権が与えられてる人達がする意見が、あまりに、「彼女が身勝手で、仕事をこのまま放棄することが、迷惑をかける」ってことが、あまりに多いことに対して…この意見が、「間違ってる」って言ってるんじゃないことは、きちんと確認しておきたいんですけど。

内山研二:はい。

伊集院光:そういう意見もありましょうが、あまりにそれ一色なことに、ちょっと気持ち悪さを感じるんです。

上田まりえ:うん。

伊集院光:と言うのも、みんな芸能界って、自分もいて、特性として一般の会社と違ったりとか、一般の社会と違うことは、いっぱいあると思うんですけどね。そこで勝ち抜いてきちゃった人の意見っていうのはね…

内山研二:はい。

伊集院光:たとえば、スポーツで言うとね、うさぎ跳びって、今でこそやらないじゃないですか。「うさぎ跳びっていうのは、実は膝にどうも良くないらしい」っていうのを、声を発するっていうのはいても、成功者は、うさぎ跳びをしてもなお、強靭な体力でホームランを打ちって人たちは、「あれは間違いだった」って言わないんだよね。

上田まりえ:うん。
伊集院光:要は、そこにちょっとバイアスがかかっちゃうっていう気がするのね。ちょっと前までならば、町工場でもいい、こういう放送局でも良い。寝ずに働いてる人が、「もう俺、無理です」って言った時に、「お前、俺たち若い頃、もっと仕事してたぞ。お前が倒れたら、他の人に迷惑かかんだろ。もうちょっと寝ないで頑張れよ」みたいなことを、良しとしてた世の中があるんだけど、「もはや違うだろう」っていう風潮だと、俺は思うんだけどな。

上田まりえ:うん。

伊集院光:そんな中、全員が「みんなに迷惑かかるぞ」って。

内山研二:ああ。

伊集院光:少なくとも、彼女は「死にたいと思ってた」って言ってるわけですよね。「死にたいと思ってた」って言う人に、「仕事の責任を取ってないから辞めるのは何事か」って言うのは、俺、「もうちょっと、違うんじゃないの?」っていう。

上田まりえ:うん。


死人に鞭打つような芸能界の論調に伊集院光さんが異を唱える格好になってるんですが、そこでふと思い出したのが、渡邉美樹さんが村上龍さんと対談したときの話です。


ワタミ会長と村上龍との対談

http://ameblo.jp/nests01/entry-11178579129.html

ワタミ社長「『無理』というのはですね、嘘吐きの言葉なんです。
途中で止めてしまうから無理になるんですよ」
村上龍「?」
ワタミ「途中で止めるから無理になるんです。
途中で止めなければ無理じゃ無くなります」
村上「いやいやいや、順序としては『無理だから→途中で止めてしまう』
んですよね?」
ワタミ「いえ、途中で止めてしまうから無理になるんです」
村上「?」
ワタミ「止めさせないんです。鼻血を出そうがブッ倒れようが、とにかく一週間全力でやらせる」
村上「一週間」
ワタミ「そうすればその人はもう無理とは口が裂けても言えないでしょう」
村上「・・・んん??」
ワタミ「無理じゃなかったって事です。実際に一週間もやったのだから。
『無理』という言葉は嘘だった」
村上「いや、一週間やったんじゃなくやらせたって事でしょ。鼻血が出ても倒れても」
ワタミ「しかし現実としてやったのですから無理じゃなかった。
その後はもう『無理』なんて言葉は言わせません」
村上「それこそ僕には無理だなあ」


一生懸命やるだけが全てじゃない~ワタミ渡邉美樹との対談からふりかえる村上龍の価値観~

http://d.hatena.ne.jp/marchekappe/20130724/1374617060

【村上龍】:モチベーションがあれば心の病にならないってわけじゃないんだけどさ。なにか、ワタミの女性の人が自殺しちゃったわけでしょ。
で俺と渡邉美樹さんとのカンブリア宮殿での会話が、コピペされて、ネット上でバックファイアみたいに何十件って載ってたわけだけど。。。お前短距離速いだろ?
【聞き役】:速いっす。
【村上龍】:長距離好き?
【聞き役】:嫌いっす。
【村上龍】:恥をさらすんだけど、俺の高校の、ロードレースがあるんだよ、冬に。帽子岳(ぼうしだけ)って言って、男子が出発して、5分後に、女子が出発するんだよ。で、坂がきつくて、たぶん俺が一番最初に歩いたんだよ。頂上まで歩いたんだよ俺は、マラソン大会なのに。で、下りで200人ぐらい抜いたんだよ、下りはきつくなくて、体力残ってたから。でみんな、倒れたりしてんの。俺、全然元気でさ。で、そん時思ったんだけど、ワタミの社長が「途中でやめるから無理になるんだ。私は無理とは言わせない。」ってニュアンスの発言、正確じゃないかもだけど、でも俺びっくりしちゃってさ。「無理だと思うからやめちゃうわけですよね?」って言ったの。したら「違う」って言って、「途中でやめるから無理になるんだ」と。

俺はっと、ロードレースのこと思い出して。途中でやめたから無理だったのかな、無理だったんだよ俺には。ぶっ倒れるとか鼻血が出るとか、その上を目指さないといけないって言われて、俺何って言っていいかわかんなくてさ、「いや~僕には無理ですね」って言うしかなかったね。
で俺すごい好きな一コマ漫画があってさ。一コマ漫画って知ってる?
【聞き役】:知ってます。
【村上龍】:ちっちゃい頃見たんだけど、パン食い競争のスタートなんだよ。みんなスタートしようとしてんだけど、一人、ポケットにバター持ってるやつがいるんだよ。俺その漫画が好きで、そいつ、パン食い競争に勝とうとしてない。あそこにあるパンをより美味しく食べようと思ってんだよ。
【聞き役】:すばらしいですね。
【村上龍】:何かそういう、僕自身もそういう方が好きだな。


芸能界で成功している人が今清水富美加さんを非難する言葉の数々は、あたかも当時のワタミ社長の「途中で止めるから無理になるんです。途中で止めなければ無理じゃ無くなります」という言葉のように思えました。

当時ワタミは「ブラック企業」として相当叩かれていましたが、今の芸能界は当時のワタミ社長のような価値観を引きずったまま存在しているのかもしれません。